作品と人々の架け橋になるような
デザインをしたい
デザイン会社勤務後、2017年にアニメのロゴデザインやメインビジュアルのアートディレクター・デザイナーとして独立した末岡氏。「作品と人々の架け橋になるようなデザインをしたい」と話す彼女は、どのようにアニメのデザインに取り組んでいるのか。今回、チームメンバーを募集するにあたり、インタビューを実施した。
(取材・文 鈴木梢 @aco220


普段アニメ作品のデザインには、どのように関わることが多いのでしょうか。
主に、アニメ作品のロゴデザインやメインビジュアルを手がけています。アニメの企画段階からお話を伺って、コンセプトからデザインを考え、提案するところから入ることが多いですね。基本的にアートディレクターとグラフィックデザイナーを兼ねています。
ロゴなどをデザインした流れで、DVDやBlu-ray Discといったアニメ作品の映像コンテンツ関連のパッケージデザインや同梱物の構成などを手がけます。他には、イベントのパンフレットやグッズのデザインなどをすることもあります。
――依頼主はどういった方が多いですか。
アニメのプロデューサーからのご依頼が多いですが、監督から指名していただくこともあります。
――末岡さんの強みとなっているのはどんな点なのでしょう。
よくお客様から言っていただくのは、「作品の世界を汲み取るのがうまい」ということですね。作品やキャラクターがどう見えるのか、作品の中でどんな立ち位置なのか、ファンがどんな思い入れを持ってくれそうか。そういった、その世界に入り込んで要素を抑えるのが得意です。

作品の世界観やストーリーをしっかり抑えて、キャラクターの心情や動きをよく知る人が見ても納得できるようなデザインにするのが、私の強みでありこだわりです。
――末岡さんはアニメ作品のデザインを中心に手がけられていますが、現在のお仕事を志したきっかけは何だったのでしょうか。
従姉妹の影響もあり子供の頃からアニメが好きで、絵を描くのが好きでした。昔は漫画家になりたくて。ただ、高校卒業後の進路を決めるときに、先生から「漫画は好きだったらいつでも描ける。学生の間にいろんなことを勉強してからでもいいんじゃないか」と言われて、漫画やイラストを描くこと以外の創作に興味をもちました。
進学後は自分の手で物を作ったり、編集を学んだり、コンセプト設計をしたりといろんなことを学び、その中で「自分で漫画やイラストを描くのもいいけど、そういったものを活かしてデザインすることの方が楽しい」と思ったんです。そこから「デザインの道」に進むことにしました。
卒業後はデザイン会社で働いていたのですが、ある日とあるデザイン誌を読んでいたとき、アニメのデザインの仕事というものがあるのを知りました。子供の頃からずっとアニメが好きで、アニメに支えられてきたことを振り返り、そのとき「アニメ関連のデザインの道に進みたい」と強く思いました。それからアニメ関連のデザインを手がける会社で働くようになり、現在にいたります。
――デザインをする中で、末岡さんのこだわりはどのようなところにあるのでしょう。
見た目だけでなく、開けるときのワクワク感や買ったときの嬉しさなど、細部まで喜びを詰め込めるデザインにこだわりたいと思っています。「手にして嬉しい」「見てワクワクする」を忘れないように、サプライズのように思ってもらえるものを用意できるように心がけています。
たとえば、「箱を開けるとキャラからの手紙が入っている」とか、「現実に起こっていることの様に思わせるために新聞風にする」とか、「ロゴにちょっとした仕掛け」を入れたりとか。手に取ってくださった方から「この演出に涙がでた!」「こうなっているの知らなかった!」など、そういう反応が嬉しい。そのためには素材から触り心地などもこだわります。
アニメを作っている方々がまず、作品の第一のファンである、と思っていて。制作スタッフの方々にも喜んでもらいたい。だからこそ作品の世界観を大事にしたいし、作り手の方々の「アニメを見てもらいたい、愛してもらいたい」という気持ちをしっかり汲み取ったうえでデザインをしたいんですよね。
私自身がアニメを愛しているからこそ妥協せず考え抜きたいし、ファンに喜んでもらえるものを作りたいと心から思います。昔、デザインしたものを師匠に見てもらったときに言われたんです。「これは、末岡さん自身がほしいと思えるもの?」って。その気持ちを忘れずに、自らに問いかけながらデザインをするように心がけています。「このデザインで私自身(ファン)がワクワクするかな?欲しくなるかな?」と。
――仕事をする中で、難しいと感じるのはどんなところですか。
みんなの理想や条件、希望がぶつかるときですね。多くの人が関わりあって作るものなので。でも、デザインにおいて、できるだけみんなにとって妥協のない形で意見をまとめるのが私の役割だと思っています。作り手の人たちみんな、ファンに喜んでもらいたいのは同じですから。
この仕事の良いところは、人の目に触れて、反応が直接見えるところ。それがつらいときもありますが、「これの、この部分が本当によかった」なんて、こだわったところに具体的に言及して喜んでもらえたら、それほど嬉しいことはありません。自分が作ったものが誰かの人生に対してプラスに作用したとわかる瞬間は、何ものにも代えがたい感動があります。
作品と人々の架け橋になるようなデザインをしたい。そして、それを見た誰かが「私もこんなデザインをしてみたい」と思ってくれたら、嬉しいですね。
――今回メンバー採用に際して、どんな人に来てもらいたいと考えていますか。
更にもっとアニメ作品の魅力を伝えるために、同じ熱量を持ったデザイナーとチームを組むことで幅広い活動したいと思っております。
いいものを作るために世界観を共有し、追求していける方を求めています!
色々な作品や仕事に関わる中で一緒に考えながら、楽しくデザインできると嬉しいです。